Existence *

「あー…ホスト時代に盛大にされてきてるもんな」

「そうっすねー…」

「あ、せや。向こうでの契約とか全部終わってっから後は行くだけな」

「ありがとうございます」

「ところでお前、英語話せるん?」

「話せる訳ねぇっしょ。ある程度は話せるけど本格的じゃねぇっすよ。決まってから勉強はしてたけど…」

「え、お前。ある程度話せるん?」


恭介さんが驚いた表情で俺を見た。


「まぁ、多少…って言っても生活するには困らないって程度っすかね」

「まじで?俺何も話せへんから向こうで生活してた時、全部通訳アプリ」

「いや、俺も使いますよ。じゃなきゃ仕事は無理っしょ」

「あー…そうそう、あっちにな通訳しとる知り合いおるから必要な時頼んだらええねん。そいつに言うとくわ」

「いいんすか?」

「じゃねぇと、まじで通訳アプリ疲れんねん」

「でしょーね。で、何年か住んでて話せるようになったんすか?」

「なるわけないやん。俺やで?英語は頭に入らんかったわ。お前は帰って来る時は普通に話してそうやけどな」

「いや無理っしょ、普通に」

「俺もあっちに行く事何度かあるし、また行くわ。…あ、電話」


鳴り続けるスマホを取り出した恭介さんはこの場から離れる。

缶コーヒーを手にして咥えていたタバコを離し、喉に流し込んだ。

不意に向けた腕時計に視線を落とし、息を吐いた。


美咲が何時の便で旅立つのかも分からなかったし、だからと言ってもう追いかけようとも思わなかった。


美咲が出したこの結果に、俺は受け入れる。

そう思っていたのに――…