Existence *

「正直ね、私は翔にふさわしくないって思ってる。でも、なんであんな別れになっちゃったんだろうって、今でも思うの」

「……」


ほんと、なんで俺と美咲はあんな別れ方をしたのだろう。

そう考えて、導いた答えは俺の所為。

ちゃんと、美咲を俺の傍に置いとけなかった俺の所為。


そして苦しめていたのも俺の所為。

俺の好きが美咲には伝わらなかった。

自分でも驚くくらいに嵌ってしまった美咲に対する気持ちが、アイツには届かなかった。


この5年間は何だったんだろうと――…


「翔の事が好きな人はいっぱいいるって分かってる。色々聞いてきたから…」

「…色々?」

「うん。ホストしてたとかさ、今でも翔の事好きな人は沢山いるって聞いたから。私もそのうちの一人」

「……」

「私の事を一番にみてほしいってのはおこがましいかもしれないけど、私の事を見てほしい」

「……」

「会ったら尚更。…好きなの、翔が」

「……」

「あの時よりもずっと――…」


近づいて来た茜は俺の肩に手を冴え、ほんと一瞬だった。

俺の唇を奪われたのは…


「…翔が、好きなの」


ゆっくり離れた唇からそう囁かれる。

グッと抱き着くかのようにして茜の腕が俺の首と背中に回る。


「…好き」


再び呟いた茜は抱き着く腕を緩め、もう一度唇を近づける。

その重なり合う手前で、「…アカネ?」俺は小さく声を吐き出した。


近づく茜は動きを止め、俺に視線を向けて来る。


「翔の事が好き。今、翔に想ってる人が居ないのなら、私を見てほしい」

「……」

「もう一度、やり直したい。お願い、翔…」


再び近づく茜の唇。

その近づく唇から俺は咄嗟に顔を背けた。