Existence *

「――…おい、香恋もう帰るぞ。って、んでお前そんな所に居んだよ」


入って来た諒也が俺のベッドの隣に居る香恋を見て呆れた様にため息を吐き出した。


「もう香恋駄目だわ。熱もあっしお腹も痛くてしんどくて帰れないっつってんから香恋も入院させるわ」

「あ?お前いつから体調悪くなったんだよ、んじゃお前も同じ様にぶっとい針刺しこんでもらっとけ」

「もぉ、諒也君までそんな事言っちゃ可哀相だよ。香恋ちゃん、怖がってんじゃん。ねぇ、香恋ちゃん?」

「香恋、帰る」


小さく呟いた香恋がベッドから降りる。

そして香恋は実香子に抱きついた。


「帰るって香恋まだしんどいだろ?俺と一緒にいようぜ?俺はまだ香恋と居たい」

「ううん、もう治った」

「はえーな、お前」


クスクス笑う俺に諒也と実香子も苦笑いをする。

帰ると言った香恋を見送る為に実香子と一緒に外へ出る。


「さむっ、こんな外寒いのかよ」


呟く俺に諒也はクスクス笑いだす。


「そう毎日すげぇ寒い。アイツは元気だけどなぁ…この冬に公園とかヤバイっすよ?」

「だろうな」


寒さを知らない香恋は笑いながら実香子と花壇にある花を見て何かを話している。

さっきまで、しんどいと言っていた言葉など嘘のように元気いっぱいだった。


「翔さん、体調は?」

「まぁ、なんとか…」

「肝炎と肺炎って聞いてたけど」

「肺炎は治まってる。まぁ、咳出てたのにずっとタバコも吸ってたからな。辞めろっつー話だけども…」

「翔さんは無理っしょ」

「お前に言われたくねぇな…」

「おーい、香恋帰るぞ」


フッと笑った諒也が香恋に向かって声を飛ばす。

振り向いた香恋がこっちに走って来て、俺を見上げニコッと微笑んだ。