Existence *

「おねちゅある」

「えー…、大変。香恋ちゃんお熱あるの?」

「うん、ちんどい」

「それは大変だよ」

「香恋もここでお泊りする」

「香恋ちゃんこんな所に居たらパパもママも心配するよ?」

「お腹もいたい」


そう言った香恋に苦笑いをすると、俺と目が合った実香子がクスクス笑いだした。


「じゃあ香恋ちゃんもお注射しないといけないね」

「うん?」


不思議そうに顔を覗かせた香恋が実香子を見つめる。

実香子の手には点滴があって、香恋はそれをジッと見つめた。


「香恋ちゃんもしたら元気になるよ?」

「それなに?」

「元気になるお薬だよ。今から翔くんするの」

「お薬?」

「うん」


腕を出す俺をジッと見つめる香恋は実香子に視線を送る。

実香子が俺の腕にアルコールをし、その光景をジッと隣から見ていた。


「痛い?翔くん、痛い?こわい?あ、痛いっ、」


小さな両手で顔を隠す香恋をみて笑っていると、


「…って、おい、痛ってーな、」


思わず声を漏らして腕に視線を送った後、実香子に視線を向けると、実香子は焦った様に笑いながら一度入った針を抜いた。


「ごめん、ごめん。あまりにも香恋ちゃんが見て来るから手がブレちゃった」

「は?お前…マジで痛かったしよ」


顔を顰め、腕を擦ると香恋がビックリした顔で俺を見て来た。


「翔くん、血でてる。痛い?翔くん、痛い?」

「痛い、すげぇ痛い。実香子に失敗された」

「実香ちゃん、ちっぱいしたの?」

「うん、しちゃったよぉ。大変!」


実香子は笑いながら俺の腕の血をふき取って、もう一度針を腕に向ける。


「じゃあ次は香恋だからな」

「…香恋もするの?」

「そう。香恋もお熱あるしお腹も痛いから注射して元気にならねぇとな」

「ううん」

「ここに居るには注射しねぇとダメだから香恋もしような?俺と一緒にここに居ろ?俺から離れんなよ香恋」

「もぉ、翔くん何言ってんの?香恋ちゃんビビってんじゃん」

「いや、お前が先に言ってきたんだろうが」


再び刺してきた針。

今度はスムーズにいくと香恋はその腕をジッと見た後、上を見上げて点滴の袋を見た。