またこの暑い季節がやってきた8月初旬。
美咲のお母さんからの連絡で、美咲が帰って来ると伝えられた。
いや、何で俺には連絡ねぇの?と、思うばかりで。
それが美咲か。なんて思う反面、俺の事を忘れたんじゃないかって言う不安もあった。
ずっと待っていた5年。
正直、長かった。
空港まで車を走らせて、そこからどうしようかなんて全く考えていなかった。
着いたものの、この広い空間から美咲を探し出すには無理がある。
腕時計に視線を落とすと、もうとっくに着陸した時間。
スマホを取り出し掛けようと躊躇うが、もう一度ポケットに押し込んだ。
入れ違いにならないように、俺は歩くスピードを速めて空港内へ入ろうとしたが――…
一瞬すれ違った女がふと気になって、進めていた足を止めた。
振り返った先には長いストレートの薄い茶色の髪を靡かせ、サングラスをした女。
見上げた空に眩しそうにする女は手でその日差しを遮った。
…美咲?
いや、違うか。
真っ赤なスーツケースを引き、再び歩き出す。
凛とした表情とその綺麗な風貌。
カツカツとヒールの音を立てて歩く女にすれ違う男の視線が女に向きー…
「さっきの女、まじ綺麗じゃね?」
「お前、見すぎ」
そう男達が笑いながら声を漏らしていた所為で俺の目が再び止まる。
一瞬、違うと思ったが、俺が見間違えるわけがなかった。
5年前より長くなった髪。
その5年が高校生の時からの美咲の要素を既に消し――…
「ねぇ、ちょっとアンタ」
美咲だと思った瞬間、俺は迷うことなく声を掛けていた。
美咲のお母さんからの連絡で、美咲が帰って来ると伝えられた。
いや、何で俺には連絡ねぇの?と、思うばかりで。
それが美咲か。なんて思う反面、俺の事を忘れたんじゃないかって言う不安もあった。
ずっと待っていた5年。
正直、長かった。
空港まで車を走らせて、そこからどうしようかなんて全く考えていなかった。
着いたものの、この広い空間から美咲を探し出すには無理がある。
腕時計に視線を落とすと、もうとっくに着陸した時間。
スマホを取り出し掛けようと躊躇うが、もう一度ポケットに押し込んだ。
入れ違いにならないように、俺は歩くスピードを速めて空港内へ入ろうとしたが――…
一瞬すれ違った女がふと気になって、進めていた足を止めた。
振り返った先には長いストレートの薄い茶色の髪を靡かせ、サングラスをした女。
見上げた空に眩しそうにする女は手でその日差しを遮った。
…美咲?
いや、違うか。
真っ赤なスーツケースを引き、再び歩き出す。
凛とした表情とその綺麗な風貌。
カツカツとヒールの音を立てて歩く女にすれ違う男の視線が女に向きー…
「さっきの女、まじ綺麗じゃね?」
「お前、見すぎ」
そう男達が笑いながら声を漏らしていた所為で俺の目が再び止まる。
一瞬、違うと思ったが、俺が見間違えるわけがなかった。
5年前より長くなった髪。
その5年が高校生の時からの美咲の要素を既に消し――…
「ねぇ、ちょっとアンタ」
美咲だと思った瞬間、俺は迷うことなく声を掛けていた。



