Existence *

「ユウトもね、翔くんの事心配してたよ?」

「心配?しねぇだろ、んな事」

「ずっとしてたよ?翔くんになんかあったらいつでも電話してって」


悲しそうな実香子の表情がやんわりと緩む。


「は?なに?なんの家族ごっこしてんのアイツ」

「家族ごっこじゃないよ!翔くんが飲みに歩いてるらしいって聞かされた時から心配してた!」

「アイツも、お前も、ほんと似たもの同士だな」


実香子を見てフッと頬を緩める。

視線がかち合った実香子は俺の視線から外し、小さく息を吐き捨てた。


「別に隠してたわけじゃないから。ユウトとより戻した事…」

「つか別にそれを聞いたところで、あぁそうなん?しか言えねぇし、わざわざ言ってもらわなくてもお前らがどうなろうと興味とかねぇし」

「ま、そうだけど…。なんか、ごめん…」

「なんのごめん?もしかして俺に気使ってんの?」

「……」

「ほら、お前もう戻れ。仕事中だろうが。患者は俺だけじゃねぇだろ?また俺なんかと話してたらあの婦長が怒ってくんだろうが。ほら、早く、」


手で追い払うようにして実香子を遠ざける。


「点滴終わったらナースコール押してね」


そう言って実香子は病室を離れた。

腕から繋がった管を見ながら一息吐き、俺は目を閉じる。

俺は結局何がしたくて何をしたかったのだろう。

考えるだけがめんどくさくて、またこの病院と言う空気にしんどくなる。

と言うか。

リアが美咲を探してたと言うことに納得が出来なかった。

リアは美咲に何を言った?

どっちにしろ、リアに何かを言われて美咲は俺と別れる選択をした、と言う事。

別れたい。しか言わなかった美咲は、他のことに関しては何も語らなかった。

ただ、今までも俺の事で悩んでた時期は沢山あった。

その事に関して、俺自身が何も出来ていなかった。


美咲がここに来て、また俺の感情がぶり返してくる。