Existence *

病院に着いて車から降りると、玄関前に居た実香子が走って来た。


「…翔くんっ、」


目を真っ赤にした実香子が俺を見上げた。


「…ごめん」

「謝るんだったらしないでよ!!ほんとに悪かったと思ってんの?なんでこんな事すんの?」

「……」

「ねぇ。翔くんっ!みんな、みんな心配してた!」

「別に心配しなくても…」


実香子がまた目を潤ませて俺の腕を掴んで激しく揺すった。


「するよっ、物凄く心配したんだから!!勝手に出ていかないでよ!」


そんな声を上げる実香子の背中を蓮斗がゆっくりと撫ぜると同時に実香子が俺の腕を離した。


「実香子、ごめんな。こいつも反省してっから許してやって?」

「反省?絶対してないよ!翔くん絶対してないじゃん!」

「…いや、一応してる」

「ほんとに私怒ってるから許さない。むしろなんでそんな蓮君は平常心なのかも分かんない!」

「え、俺にもキレんといて。もうこいつもユウトに殴られてすげぇ怒鳴られまくってっから、もうそっとしといたって」

「出来ないよ…」

「ほら、もうお前ら入れや。俺も帰るわ」


そう言って蓮斗は車に乗り込んで発進させていく。

実香子が俺を見て、ため息を吐き出すと、何も言わずに足を進めていった。


その後を仕方なく着いて行く。


「…婦長。すみませんでした。戻ってきました」


ナースステーションから声を掛けた実香子に婦長さんが振り返る。

俺を見た瞬間、呆れた様に顔を顰めた。


「芹沢さん、困ります。勝手に出ていかれては」

「…すみません」

「あなたここへ何しに来てるの?遊びに来てるんじゃないんです。勝手な行動取らないでください」

「はい」


怒ってる婦長さんに頭を下げ、病室に向かう。

ベッドに寝転んだ俺は軽く息を吐き出し、頬を擦った。


「…って、あいつ本気で殴ってんじゃねぇよ、」


小さく舌打ちをうち、軽く目を瞑った。