Existence *

その日の夜。

もう今日が終わり明日の日付になろうとした時、不意に鳴り出した着信音に思わず顔を顰めた。

ベッドに寝転んでる俺はシーツを手で捲りスマホに手を伸ばす。


その画面に映し出された流星の文字に、軽く舌打ちをした。

と同時に実香子の顔が過った。


「…はい」

「お前、馬鹿じゃねぇの?」


流星の怒りの声の後ろから弾ける賑やかな音と声が聞こえる。


「第一声の言葉がそれかよ」

「あ?馬鹿に馬鹿っつって何が悪い?」

「用ねぇんだったら切るわ」

「あるから掛けてんだろうが。実香子がお前から電話あったかって言われて、そん時にお前の事聞いた」

「……」

「アイツ心配してたぞ」

「別に心配されるようなことじゃねぇしな」

「お前さぁ、なに?12月終わりごろからお前がみんなの誘いをすべて断って一人でBarとか飲み屋でよく見かけるって情報聞いてた。酒に溺れてるって、」

「…溺れる?」

「溺れてんじゃねぇかよ。だから入院すんじゃねぇのかよ」

「……」

「お前さ、美咲ちゃんになんて説明した?酒で入院っつったのかよ」

「……」

「なぁ、お前聞いてんかよ」


誰と話しても美咲の名前が出て来る。

もうそれすらもめんどくさい。


「まだ言ってねえよ」

「は?まだ?なんで?一緒に居んじゃねぇのかよ」

「最近、一緒じゃねぇから」


別れたの報告なんてする必要もなく、だからと言って聞いてほしいわけでもない。


「お前、もしかして喧嘩してんのかよ」


喧嘩?

美咲と?

まぁ、別れたより喧嘩の方がまだマシだよな。


「なんで?」

「彩斗が言ってたんだよ、お前がリアと揉めてたって。まぁ、詳しい話の内容とかは聞いてねぇけど、彩斗にそれだけ言われた」

「……」

「それでなんかあった?」

「別に」

「リアも最近ピリピリしてんだよ。母親から会社の為に早く結婚しろって言われてるらしいからよ、それでアイツも苛々してっし」


は?

意味分かんねぇわ。

あいつの都合で周りを巻き込むなや。

まじで、勘弁しろよ。