Existence *

「なぁ、俺の知らねぇ所で何が起こってる?」

「え?なんすか、それ」

「世間が大好きと言う噂が今どんなことになってんのかなって」

「あー…翔さんの事?」

「そう」


正直、何がどうなってるのかも分からなかった。

美咲とあんなことがあってから出会ったと言えば仕事上での蓮斗だけで、アイツは何も知らない。

後はタケル。

その他は誰とも会ってはいなかった。


いなかったと言うよりも、誘いを受けても全て俺が断った所為で会ってはいない。


「最近では飲み屋でよく見るとか。あー…業界の噂も聞きますけどね」

「戻るってやつ?」

「そうそう。俺も興味ないんでほぼ聞き流してるんで正直あんま知んなくて」

「そっか…」


小さく呟きタバコを指に挟んだままグラスを手に取り酒を口に含む。

空になったグラスにウイスキーを注ぎ、そして喉に流し込んだ。


「はいはい、ガチで酒控えた方がいいっすよ」

「俺から酒をとったら、なんもねぇだろうが」

「もー、何言ってんすか?これで瓶2本目っすよ?それにまだ飲んでるんでしょ?」

「酔えねぇのに眠さだけは勝つわ」

「んじゃ、もう帰りましょ」

「お前先帰っていいよ」


チラッと彩斗に視線を向けてタバコを咥える。

そんな俺に彩斗はため息を吐き出した。


「いやいや、翔さんの事探しに来たのに先に帰れって、おかしいでしょ」

「頼んでねぇよ、俺は」

「流星さんにも言われたんすよ。見つけたら連れて帰れって」

「なにそれ。保護者かよ」

「これ以上飲んだら身体ヤバいっすって。翔さん言われてたでしょ?集中的に大量に飲んだらヤバいって」

「……」

「どーしたんすか?まじで」


彩斗の困った表情にタバコを消し、俺は立ち上がる。

その店を出ると、彩斗はホッとしたかのように安堵のため息を吐き捨てた。