Existence *

「…嫌なら嫌って言えよ」


なんで何も言わねぇの?

美咲を肌を撫ぜていた手離し、身体を美咲から避け隣に座る。


「そんなんじゃ――…」

「泣くほど嫌なら嫌って言え」

「違っ――…」

「だったら何?顔も見たくねぇってか…」

「違うって!」

「じゃ、何で泣く必要あんの?悪いけど俺、昔の若い時みたいにガツガツいけねぇの」

「……」

「俺が望んでても美咲がそれに受け答え出来ねぇんだったら一緒にいる意味ねぇし」

「……」


いくら俺が答えを出しても、その答えに美咲が出してくれないのであれば、これ以上一緒には居る事は出来ないと思った。

美咲の事を受け入れたわけでもない。

うしろ受け入れたくはない。

だけど、美咲が俺に対する気持ちがないのなら、そうしないといけないような気がした。


若い時なら、もっと美咲を説得できたんだろうか――…


「だからこれで終わり。…いい男、みつけろよ」


ただ。美咲には幸せになってほしかった。

まだ好きだから?

俺よりもいい男、見つけて。

美咲なら、きっと――…


サヨナラの代りに美咲の頭をクシャりと撫ぜる。

そして小さく一息吐き、俺はこのマンションから姿を消した。


もう既に外は暗くて、その暗闇を見上げて息を吐き出す。

こうなってしまったのも自分の所為だと。

今更ながらになんでもっと早くに美咲に会いに行かなかったんだろうと。

なんで美咲の答えを優先してその答えを待っていたんだろうと、思った。


そう思うのに美咲が出した答えにごめん。って思うのは俺の方だった。

そこまで考えさせてしまった俺の行動。

俺の周り。

全てに辛くさせてごめん。と、そう思った。