Existence *

「距離を置くっつー事はこのまま一緒に居るか居ないかを考えるっつー事だろ?」

「……」

「だったら俺はそれに賛成できない」

「……」

「そんな簡単に決めちまったら今まで何だったっつー話じゃね?」


ほんと、勝手だな。

美咲に対する俺の気持ちは無視かよ。

今までずっとお前の事想ってきたのに。

ほんと、簡単に決めんだな。


「…ごめん」


ごめんって、意味分かんねぇわ。

何に対しての、ゴメン?


「ごめんっつーことは距離を置くっつー事だろ?」

「今はそうしたい」

「俺が無理っつっても?」

「うん…」


美咲の意思は相当に固かった。

この一週間、それを考えていたのだろうか。

そして結果がこれ。


ここまで美咲をそうさせるほど、あの女は何を言ったのだろうか。

ほんっと、腹が立つ。

普段あんま怒らねぇ俺でさえも、苛々する。


「そっか。お前が決めたんだったら、もう何も言わねぇわ」

「……」

「けど俺の気持ちは変わんねぇから。どれくらい置くのか知んねぇけど、美咲の気持ちが定まるまで待つから」


これ以上いると今の感情が乱れて、色んなことを吐き出してしまいそうだった。

俯く美咲に触れる事もなく立ち上がり、テーブルの上にあるキーケースを掴んで俺は外に出た。


やけに苛々する。

何に対して苛々しているのかも分からないくらい自分の感情が頭の中をかき乱していた。