Existence *

「じゃあ、なに?お前はどうなんだよ」


苛立ったまま美咲に言い放ってしまった。

ほんと、お前は別にいいってか?


「え?」


小さく呟く美咲は俺の腕から手を離し、そんな美咲に俺は少し眉を寄せた。


「お前はどうなのって。美咲帰ってっか…って諒也から連絡がきて事情を知った時、俺はお前を探した」

「……」

「行くあてなんか分んねぇし、お前んちにも行った。電話しても出ねぇし、探しまくった」

「……」

「なのにやっと見つけたと思ったお前は男に抱かれてた。…と思えばソイツとどっかに行こうとするお前」

「……」

「その後の事なんて知りたくねぇけど、そんなんで女に会うなってよく言えんな。ましてや、ちゃんと解決しなきゃいけねぇと俺は思ってんのに」


確かに黙ってた俺が悪い。

美咲に誤解を招くようなことになってんのも俺の所為。


だからこそ、ちゃんと美咲と向き合って話をしようと思ってた。

色んな女が居るって思われてても仕方がない。

その事が原因で美咲が不安になってるって俺も薄々気づいてた。


だからこそ、ちゃんと美咲とは向き合いたかった。


「ごめん…」

「……」


小さく呟かれた美咲の声。

表情を崩して俯き、潤んでいる瞳を指先で拭った美咲を俺はジッと見つめた。


「ちょっと距離置きたい」

「は?」


思わず素っ気ない声が漏れる。

今、なんつった?


「少し翔と距離置きたい」

「つか、何でそーなんの?」


まじで意味分かんねぇわ。

ほんと。


「ごめん。翔に対する気持ちが分かんない。…頭の中がごちゃごちゃしてて、翔と居ると良く分からない感情が芽生えて…。だから少しだけ距離置きたい」


いや、待てよ。

お前が何言ってんのかわかんねぇわ。

距離おくって?

俺と居ると良く分かんない感情って、なに?


そう言った美咲はゆっくりと俺に視線を向ける。

涙を流して潤んだ瞳が赤く、その瞳が俺を見て揺れた。