Existence *

「そいつから聞いたのか?」

「そう」


正直、物凄く腹が立った。

美咲に会って、何を言った?

何をアイツは吐き出したんだろうと。


…――楓の女がどんな女なのか拝見したいだけよ。


だからって、何を言った?

美咲がここまで怒るほどアイツは何を言ったんだろうか。


だからここでようやく美咲が帰って来ない理由が分かった。

俺が秘密にしていたこともあるだろうけど、一番はそこじゃなった事。


まじであの女、なにしてくれんてんだよ、

苛立ちのままタバコを咥えて火を点ける。


「アイツはただの客」

「客じゃないでしょ。ただの客だったら半年も看病しないでしょ」

「俺はそうしてくれとは頼んでねぇよ。でも、当時のあん時は大切な一人だったから」


何一つ、間違った事は言っていない。

俺が看病してなど一度も言ったこともないし、頼んだ事もない。

むしろあれが看病だとは思っていない。


でも、アイツは俺にとって大切な人だった。

あの時は、ほんとに大切だった。

俺をNO1にしてくれたのがリアだったから。

でも、今は違う。


「どう言う意味で?」

「え?」

「だからどう言う意味で大切かって聞いてんの。…友達?…恋愛?」

「どっちでもない。大切な客の一人。けどソイツとは何もねぇから」


ひと吸いしたタバコの灰を灰皿に打ち付けて落とす。

ゆっくりと煙を吐き出し、埋もれている灰皿の端の方で灰を落とした。


「…私は必要なかったの?」


小さく零れ落ちる美咲の声。

つか、そんな質問してくんなや。