Existence *

「諒也から聞いた。その事については悪いと思ってる。その事についてちゃんと話そうと思ってんのに何で電話に出なかった」

「……」

「聞いてんのか?」

「……」


俺と目を合わせないようにとしているのか、美咲が視線を逸らす。

その行動に、俺は深いため息を吐き捨てた。

電話も無視。

会話も無視。

視線も逸らす。

ほんと、なんだよ、まじで。


「おい、美咲…」

「……」

「無視か?」

「…何で言ってくれなかったの?」

「え?」


やっと美咲の口が開く。

だけど視線は逸らしたままで――…


「入院してる事、なんで言ってくれなかったの?」


そう言って美咲は顔を顰めたまま俺に視線を送った。


「死に至る病気じゃねぇし、美咲に心配かけたくないと思ったから」

「そうじゃないでしょ?言うのが普通でしょ?じゃなくても私はずっと翔の身体の事、心配してた。いつも大丈夫、大丈夫って言って何も教えてくれないじゃん」

「だから悪いと思ってる。ちゃんと感知したし、薬も減ったしこのままだともうすぐ飲まなくて良くなる」

「だからそーじゃないの。私が言いたいのはそーじゃないの!」


美咲の声が部屋を反響する。

必死に叫んで俺を見つめる瞳が微かに赤みを帯び、美咲は悔しそうに唇を噛みしめた。


「そーじゃないって?」


どういう事?

美咲は何に怒ってる?と思った時だった――…


「半年間もの間、誰に看病してもらってたの?誰にみてもらってたの?」


そう言った美咲の赤みを帯びた瞳が揺れた瞬間、俺は視線を逸らした。

半年間の看病?

むしろ、誰だ?

半年もの間、見てもらってた奴なんて――…


もしかして。

一瞬頭に浮かんでしまった。

リアの顔が。


いや、違うか。

もちろんリアは半年間ずっと来ていた。

だが、それが看病になるかはどうかは分からない。

俺が違うと言っても美咲がそう捉えてもおかしくはない。


もしかしてリアじゃないかもしれない。

でも、半年間ずっと来ていたのは、リアしか、


居ない。