Existence *

頭の中がむしゃくしゃしていた。

冷蔵庫から取り出してきたビールを飲み干し、そしてもう一本飲む。

苛々すると余計に苛々し、その苛々を抑えようとテーブルに置いていたタバコを咥えて火を点けた。


ほんっと、俺の電話も無視か。


その日から数日過ぎても美咲は帰って来なかった。

だからと言っていいだろうか。

美咲が帰って来ない苛々が積もり、俺の酒の量が増えていく。


浴びるほども飲んでねぇけど、ほとんど飲んでいなかった酒が恋しくなるほど飲んでいた。


「なぁ、お前最近不機嫌じゃね?」

「あ?」


仕事中、蓮斗が顔を顰めたまま俺に視線を送る。


「なんかあった?愛想わりぃ…」

「別に」

「そんな不機嫌に返事すんなや」

「なぁ、お前さぁー…」


そこまで言いかけて言葉を飲み込んだ。

最近、美咲と会った?って。

そんな事、言わなくっても分かる。

蓮斗じゃないって事くらい。


ただ、誰か分かんねぇ…

考えてみたけど全く思い浮かべる奴が出てこない。


「あ?なに?」

「いや、何もねぇわ」

「あっそう」


ほんとに誰だか分かんなくて、最近の苛立ちはそっちに向かってた。

俺の周りに居る奴らは違う。

そう信じたい。


後はあの時入院していた時のホスト仲間か。

でも美咲との接点なんて何もなく、むしろ美咲の事まで知らない奴の方が多い。


…じゃあ、誰?


そんな事ばかり考えて、1日が終わっていく。

帰宅して、また酒飲んでタバコ吸って、これじゃあ昔と変わんねえなって思った。


でも、そうでもしないと落ち着かない。