Existence *

行きそうな所っつってもホントに分からなくて、ただ車を走らせるだけで美術館にも行った。

一瞬、海かと思ったけど電車が動いてねぇから違うと思い、繁華街に向かった。

絶対来ないだろうと思いながらも車を停め、歩いたものの美咲の姿すらなかった。


何度も電話するも全くその着信は途切れる事なく鳴り続け、苛々が積もる。

それに伴って空からの雨粒に余計に苛立ちが込み上げる。


どこ行った?


再び車に乗って、走らせながら窓から辺りを見渡す。

正直どれくらいの時間探したのかも分からなかった。

ここまで探しても居ないのなら、もう諦めようと思った。


そう思ってた。


だけど、不意に向けた視線。

その視界に入る先に見つけてしまった。


…美咲を。


なのに安堵のため息なんて何一つ出ては来なかった。

出てきたのは苛立ち。

車を降りて向かおうとした時だった。


「は?なにしんの、アイツ」


俺が見間違えるわけがなかった。

雨の中。

美咲の前に居た男は美咲を抱きしめた――…

若い、金髪の男に。


そしてそのまま美咲はその男の車に乗り込んだ。

一瞬、美咲じゃないって、そう思った。

だけど、車に乗り込もうとするときに見えたのは紛れもなく美咲だった。


「ほんっと、」


腹がたつ。

って言っても何に対してなのかも分からなかった。


美咲にか、

あの男にか、

隠してた自分自身か、

その事を告げた奴か、


もうすべてに当てはまって、どうしようもなかった。

空を見上げて深呼吸をする。

落ちて来る雨が冷たく、それが頬を伝った。