Existence *

何もない毎日が過ぎ気づけば12月。

もう今年もあと一ヶ月になった。


美咲が帰って来て4カ月。

4カ月の月日がこんなにも早いものとは思わなかった。


美咲が居なかった4カ月とは違い、物凄いスピードで過ぎていったように感じていく日々。


「ねぇ、翔?」


日曜日の夜。

ソファーに深く背を付けてテレビに視線を送っていると、美咲が隣に腰を下ろした。


「うん?」

「あのね、今日美術館に行ってきたの」

「へぇ…、また懐かしい場所だな」

「うん」

「なに?写真見て恋しくなって、またあの場所に行きたいとか言うのナシで」


そう言って苦笑いすると、美咲はフフッと笑った。


「違うよ」

「今度は賛成できないから」

「だーかーらー、聞いてよ」

「なに?」

「美術館によく行ってた時にさ、岩崎さんって人と知り合ってたまに話してたの?」

「だれ?その岩崎さんって人」

「そこの従業員の人なんだけどね、その人ママの事も知ってる人なの」

「へぇー…」

「ママもね学生の時からあの美術館に行ってたんだって」

「まじで?すげぇな、それ」

「でしょ?」


そう言って美咲はクスクス笑い話を続けた。


「それでね、その岩崎さんが昨年辞めたみたいで…」

「うん」

「私に手紙残してて、ママが落としたって言う写真預かったの。…ママと私と、…父が写った写真」


だから思わず俺は美咲を見つめてしまった。

困った様に顔を顰める美咲は一息吐き、俺に視線を向けた。


「3人のって事?」

「うん。だから岩崎さんに会って聞きたい。なんでママが持ってたのかって、」

「……」

「だから今度の日曜日、会いに行こうと思う」

「会いにって、どこまで?」

「ここまで…」


美咲が小さく呟いて鞄の中から折り畳んである紙を俺に差し出す。

それを受け取って、その住所を見て俺は目を見開いた。