Existence *

「私はまだ、自分が大人になったって言う自覚ないよ」

「そうかな?年齢を重ねる内に落ち着くって言うじゃん。美咲はそれ」

「だったら翔も?」

「んー…10代の時に比べたらそうなの…かな。あん時はまさしく自分中心だったからな」

「……」

「美咲はこの5年で変わったと思うよ。向こうに行って、何かいい物を学んだんじゃねぇの?」

「んー…どうだろ。でも言葉に表せないくらい自分に得るものは沢山あったよ。でもね、帰って来たらやっぱ心寂しいの」

「……」

「正直言ってさ、人の事より自分の事って思っちゃうの。教師だから生徒の事を把握しなきゃって言う部分もあるけど、やっぱ色々あり過ぎて帰って来た自分についていけない」


確かに美咲が帰って来てから色んなことがあった。

切なそうにしてる顔も寂しそうにしてる顔も時々見せる悲しそうな顔。

俺には決して弱音を吐かなかった。


「だから言ったろ?俺を頼れって」


美咲を見て軽く微笑む。

新たに咥えたタバコに火を点けて、そのまま言葉を繋いだ。


「辛かったら俺を頼れって。これ5年前にも言った」

「そう…だっけ?」

「抱え込むところは全然変わってねぇよな」


ほんとなんも変わってねぇわ。

ま、これが美咲なんだろうけど。

だからと言って、頼ってもらうほどいい男でも何でもねぇけど。

留学してるほうが良かった。なんて思われても困る。

そう思うと苦笑いが漏れた。