Existence *

店近くの駐車場に車を停めて、俺は足を進ませる。

相変らず賑わっている真夜中の繁華街。

この空間から足を払って、もう8か月は経つ。


つーか、あんまここに出歩きたくはない。

違う場所にしときゃ良かったわ…


「あー…翔さん」


もうすぐで店だと言う手前。

俺に気付いた彩斗が俺の名前を呼ぶと、その隣に居た美咲が振り返った。


「電話しろよ」


そう言って俺は美咲から女の子に視線を送ると、軽く頭を下げられ、俺は頬を緩ませた。


「…寝てると思ったから」


申し訳なさそうに言う美咲は困った表情で俺を見つめる。


「つか寝れるわけねぇじゃん。鍵は置きっぱだし、帰って来てねぇのに寝れねぇよ」

「あー…ごめん」

「つか、ありがとな」


美咲から視線を外し、彩斗に視線を送る。


「いいっすよ。んじゃ、俺戻るんで」

「悪いな。また遊びにくっから」

「喜んで待ってまーす」


笑みを浮かべた彩斗はヒラヒラと手を振って、背を向けて歩いていく。

その背後から視線を外して、俺は美咲たちに視線を送った。


「帰るぞ」

「あ、…天野さんも一緒にいい?ちょっと帰りたくないらしくて」

「いいよ」


そう言って女の子に視線を向け、頬を緩ませる。

むしろ、帰りたくないって、どういう事?

そんな事、俺が聞けるわけでもなく、「良かったね」美咲の声で俺の視線が美咲に移った。


美咲は女の子を見て微笑むも、女の子は困ったような悲しそうな瞳で視線を下げた。


「じゃ、行こ」


そう言って俺は足を進め、少し歩いていくと、


「どうしたの?」


美咲の声で俺の進めていた足はピタッと止まり、振り返る。


「やっぱし、いいです。センセ―には迷惑かけられないからいいです」

「いや、でも…ここに居る気でしょ?それはやっぱダメだよ」

「……」

「私は迷惑だなんて思ってないから。もし迷惑だなんて思ってたら、一緒に帰ろうなんて言ってないよ」

「でも…」

「でも?」

「…彼氏さんにまで迷惑掛ける――…」

「俺は構わねぇよ。来なよ」


女の子の声を遮った俺の言葉に二人の視線が俺に向く。

なんの俺に対しての心配事か知んねぇけど、ここに居る事自体心配だわ。


それに俺も早くここから帰りたい。