Existence *

次の日、寝ている美咲を起さずに仕事に向かう。

だけど、何度も夜中に目を覚まして起きる美咲の事が頭から離れなかった。


「久しぶりだな、お前。つか、また何かあったのかよ」

「え?」


昼休憩の時間、ベンチに座ってタバコを咥える俺に、蓮斗がクスクス笑いながら俺の隣に腰を下ろす。

蓮斗と出会うのは一週間ぶりくらいだろうか。


「タケルがお前の事、愛想悪いっつってたわ」

「んな事ねぇよ。いつもと一緒。最近はお前との方が仲いいだろ?」

「あー…アイツとは仲良くしとかねぇとなぁ」

「愛優の面倒のためだろうが、それ」

「助かんだわ。お前、見てくんねぇし」

「そんな暇ねぇよ」

「ほんと仕事ばっかだな、お前は」

「うーん…、それもあっけど」

「あっけど、なに?」


小さく呟く言葉に蓮斗が笑いながら俺に視線を送る。

タバコを咥えた時、思い出したようにハッとし、俺はポケットに手を突っ込んだ。

そこからキーケースを出し、そこについている一本を取り蓮斗に差し出す。


「とりあえず、一旦返すわ」

「もう必要ねぇの?」


俺が返した事務所の鍵を受け取り、蓮斗は自分のキーケースに取り付ける。


「まぁ後は家でするわ」

「お前はいつも大変だな」

「いやいや、それお前な。つかお前さ、探偵の仕事はやってんのかよ」

「やってる。だから一週間、休んでたじゃねぇかよ」

「え、あぁ。違う現場行ってんのかと思ってた」

「あー…でさ、その間に沙世さんに出会ったけど」

「へぇー…」

「翔くん元気にしてるの?って言ってたぞ。最近全く連絡ないんだけどって。顔見せにおいでって言ってたぞ」

「顔見せにねぇ…」


苦笑いしながらタバコを咥えて、ゆっくり息を吐き出していく。

短くなったタバコを横にある灰皿に押し潰して火を消した。