Existence *

「って言うかさ、俺もうホストじゃねぇんだけど」

「あー…だから彼女作ったんだ」

「つか居るって言ってねぇし」

「まぁ、別に?私は楓に女が居ようと構わないけどさ、納得してない人もいるからさぁー」

「なんで納得されなきゃいけねぇのかもわかんねぇんだけど」

「だって、皆んなの楓だからだよ」

「てか、まだ言ってんの?そんなこと」


嘲笑的に笑うと言うか、正直呆れる。

そもそもみんなのって、なに?

芸能人でもねのに、何言ってんだって話。


「みんな言ってるよ!楓の彼女が知りたいって」

「…ほんと、くだらねぇな」


思わず小さく呟いてしまった言葉に、「え?」と小さく女が返す。


「いや、別に…」


女と別れた後すぐに帰宅し、冷蔵庫から取り出した水を口に含んだ。

ソファーに座って咥えたタバコに火を点け天井を見上げながら深く背を沈める。


そして思い立ったようにテーブルに置いてあるスマホに手を伸ばし、俺は耳にあてた。


「…はい」


暫く経って聞こえた流星の声に俺は咥えていたタバコを離し煙ごと一息吐く。


「あのさ、」

「どした?お前から掛けてくんの珍しいな」

「そっちの裏で俺の事なんてなってんの?」

「お前の事?裏で?なにが?」

「わけわかんねぇ事流してんの誰って聞いてんだよ」

「分けわかんねぇ事が分かんねぇわ」

「俺がホストに戻って来るって誰がそんな噂ながしてんだよ」

「あー…なんかそんな話流れてんな」

「お前知ってんだったら拒否れよ」

「つかなに?なんかあったのかよ」


電話越しから流星の笑い声が聞こえて来る。

咥えていたタバコを口から離し、テーブルにあるペットボトルを掴んで喉に水を流し込んだ。