Existence *

「で、ルキアさんあれからずっとこっちに居るんすか?」


居酒屋でルキアさんと会ってから一度も会ってなくて、蒼真さんが店をオープンする為に店舗の着工を進めていると言ってた事を思い出す。


「ううん。あれから帰ったで。んで昨日また来てん。今から内装中の店見に行くねん」

「あー、そう言えば蒼真さん言ってたわ。着工すげぇ早いっすね」

「俺、思い立ったらすぐ実行派やねん」

「ですよね、昔っからそうっすよね」

「まぁ、また完成したら来てーや」

「行きますわ」


ルキアさんと桃華さんと別れて駐車場へ向かう途中、


「…――楓っ、」


勢いよく抱きついてきた女に思わず体勢が崩れる。


「おい。ちょっと、」


崩れた体勢を整え絡んできた女の腕を掴み離そうとするも、女の力が強すぎてそう簡単には離れなかった。


「会いたかった!わぁー、楓なんか凄いイイ匂いがする」


顔を上げて微笑んでくる女が俺に抱きつき、俺は顔を顰めた。


「ちょっと離れようか、」


掴んでいる腕を離すと女は少し不満げに俺を見て、俺から少し距離を置く。


「ねぇ、さっきリアさん見たんだけど」

「知ってる」

「やっぱり。ねぇ、楓はみんなの楓だからあの人の物じゃないんんだけど」

「はい?意味分かんねぇんだけど」

「って言うか楓の事で色々揉めてるよねぇ…」

「揉めてる?」

「戻って来るって話」

「いや、どこからそんな情報流れてんの?」


つかほんと最近その話が多い。

どこから流れてんのか知らねぇけど、嘘情報漏らすのもいい加減にしてほしい。


「うーん…どっからだろう。リアさんもたまに店で見るし、他の女の子達も言ってたよ?楓が戻って来るって」

「……」

「それに楓に彼女が居るって言う話も聞くし。私の友達が楓が女といる所を見たって言ってたけど、彼女なの?」

「さぁー…、仕事の女かもな」

「仕事?ほんと仕事なの?ってか、なんの仕事?楓が選ぶ女だからこそ気になる。てか皆を敵に回してるよね?」

「はい?意味分かんねぇわ」

「だって特定の女は作らないって言ってた楓が作っちゃうとそうなるでしょ?」


少しだけ頬を膨らませた女に俺はため息を吐き出した。

特定の女ねぇ…

まぁ確かに言ってたな、あの頃は。