Existence *

「世話好き?」

「そーそー。甘いもの食いたいからって行ったらしい」

「へぇー…でもいいのかな貰って」

「つか今からもう返せねぇだろ」

「そうだけど…。ありがとうって言っといてね」

「あぁ」

「ところでご飯どうする?」

「あんま減ってねぇからいらね」


蒼真さん所に行く前に食べたけど、まだそこまで減ってはいない。


「そう。じゃあ私もいいや」

「は?食えよ。なんか作ろうか?」


特に作れるわけでもないけど、簡単なものなら。

と思いながらタバコを口に咥えて火を点け換気扇をつけた。


「いらない。ケーキでいい」

「それ夕食?」

「私もあんま減ってないけどケーキは食べれそう」

「何だそれ」


笑う俺に美咲も頬を緩め、美味しそうにケーキを食べていく。

やっぱ、気のせいか。

帰って来た時のあの一瞬に感じた寂しそうな瞳は、気のせいか。


最近いつも通りだから全く分からない。

普通なのか、普通にしているのか、分からない。


あれ以来、俺の前で泣くことは全くないけど――…


「…美咲?」


ベッドで寝転んでいる隣に美咲が入り込んでくる。


「うん?」

「なんかあった?」

「えー…、なんで?」


シーツを被りながら俺に視線を向け、その視線はスッと逸らされる。


「そんな気がしたから」

「なんもないよ」

「俺に心配かけないように平然としてる…って事か、」

「え、なに?急にどうしたの?」

「急じゃないけどな。普通に気になってた。どうしたのは美咲の方。…我慢しなくていい」


隣で寝転んでいる美咲の頬に手を添え、その手を後ろに滑らせ髪を撫でる。


「…我慢なんかしてないよ」

「そう?じゃあ、俺の勘違いか」

「そだね」

「そか…」


クスリと笑った美咲の唇に重ね合す。

重ね合すごとに俺の手が美咲の後頭部へ回り、頭を抱える。

何度も重ね合し、次第に美咲の腕が俺の背中に回った時、美咲は俺の唇からゆっくりと離し、俺を見つめた。