Existence *

「んー…、この家の横の土地はなに?」

「土地?」


テーブルに置いていたスマホの画面を明るくし、俺はさっき見せた写真を何枚か捲り、家の横にある空いている土地を見せる。

蒼真さんが覗き込むように画面を見つめ、そしてパソコンに文字を打っていく。


「5年前からずーっと空いてんだけど」

「あー…、確かここに駐車場が作られる予定だったけど、管理費とか高いから取りやめになったと思う」

「ここに駐車場?ここに作る意味ある?」

「ねぇと思う。土地高いから誰も買い手おらん」

「そんな高い?」

「ここの周辺だったら環境良いからもっと安い所探すって感じかな。でもまぁ、立地はえぇよなぁ」

「土地いくら?」

「この面積で5000万以上はいく。…って、ちょっと待って!お前、ここ買う気?」


蒼真さんはパソコンから視線を俺に向け、少しだけ目を見開いた。


「いや、聞いただけ」

「聞くって事はそれも視野に入れてるって事だろうが」

「うーん…、それも考えた」

「今の家とくっつけてって、…お前、どんな豪邸建てんだよ、」

「だから聞いただけっすよ」

「ここ周辺土地高いし。立地いいから高い」

「そっか」

「まぁ、お前なら買えるか。貯金どんくらい?死ぬまで働かんくても生活出来るだろ?」


クスクス笑う蒼真さんは目の前にある珈琲を口に含む。


「出来るわけねぇだろ。むしろ今の給料ではマイナス。家賃に取られていくって感じかな」

「でも生活には困ってねぇだろ?」

「今んとこは」

「どーせ新しい職場行ったらそんなの無縁じゃねぇかよ。お前、金に困る事ねぇだろよ」

「いやいや俺、ホストする前は1日の飯代500円くらいしかなかったし。飯食う金もなかったし」


ほんと、あの頃は金なんかなくて、飯食う金もあまりなかった頃。

お袋が亡くなってから必死だった時代。

今思うと、あの頃はあの頃で、必死過ぎた。