Existence *

あれから3週間が過ぎた。

葬儀の時、喜田さんから聞いた言葉を思い出し、俺は導かれるように辿り着いた場所。


「…元気にしてる?」


お袋のお墓の前でそう呟き、そしてそっと墓石に触れ、その場にしゃがみ込む。


「お袋に会いに来た」

「……」

「美咲のお母さんが亡くなって、そこで喜田さんって人に出会った」

「……」

「お袋の事、色々聞いて――…」


初めて涙流した。

ほんとお袋が亡くなって初めて泣いた。

もう13年くらい経つのに…


「――…今更でごめん」


俺の知らない事がまだまだあって、もう13年も経つのに。

持っていた花を飾り、線香をライターで火を点ける。


「ありがとう。居場所作ってくれて。だからこうやって会える」


立てた線香からユラユラと舞い上がる煙を見ながら立ち上がり、フッと一息吐く。


あれから美咲は泣くこともなく、俺に頼る事もなくなった。

ほんと、今までの美咲に戻ったって感じで。

だけど、その夜ベッドに寝転んでいる俺の隣で、美咲は思い詰めた表情で身を寄せてきた。


どした?と、聞く前に美咲の口がゆっくり動く。


「…あの家、売ろうと思うの」

「え?…何で?」


思わず発してしまった声。

と、言うかその言葉で思い出してしまった。

美咲のお母さんから言われていたことを。

今の今まで忘れていて、美咲の言葉で思い出してしまった。


――…私が居なくなったらあの家を売却してほしいの。


あの時は、聞くだけ聞いて、何も考えていなかった。

だから美咲からその事を口に出され、正直戸惑ってしまった。


お母さんと美咲の考えが一緒だったことに。


「帰らない家は必要ないよ。って言うか…ローンまだあるの。調べたらさ、まだ14年くらい残ってんの。居ないのなら払う必要ないし」

「……」

「で。今売っても多分マイナスにならないじゃん?ならいいかなって…」

「うーん…」


正直、俺はそれに賛成できなかった。

あの辺の周辺はまだ栄えてる方で、立地もいい。

売却ねぇ…


どうすっかなぁ。