Existence *

「あの、聞きたいことがあるんですが」

「なに?」

「母親のお墓の事ですが、何か知ってますか?」


気になってた事。

この人かどうかは分からないが、沙世さんは同じ職場の人って言っていた。

俺はずっと気になっていた。


「お墓?」

「はい。お袋が職場の人に頼んで用意したって聞いたのですが、何かご存じですか?」


喜田さんは俺が言った言葉に、何故か悲しそうに微笑んだ。


「私です」


そう言われた瞬間、やっと出会えたって思った。

この先、もう聞くことが出来ないと思っていたことが、やっと聞けると思った。


喜田さんが言う通り、お袋と美咲のお母さんが会わせてくれたんだって、そう思ってしまった。


「聞かせてもらってもいいですか?今更ながらですけど、母の事が知りたいです」


俺の言葉に喜田さんは微笑んで、ソファーの方に指を指す。

そこに俺と喜田さんは腰を下ろし、喜田さんが俺に笑みを向けた。


「百合香ちゃん、いつも必死だったから。24時間のスーパーってね、あの頃じゃそこしかなくてね、昼職をした後スーパーに来てね、弱音吐かずに、いつも笑顔で凄いなって思ってた」

「……」

「翔くんの話もね、してくれてたの。いつも私が居ないから苦労掛けてるって」

「ほんと、情けないです。今更ですけど…」

「そんな事ないよ。思春期なんて誰にだってあるから。それに今じゃこんなに立派になって、百合香ちゃん喜んでるわよ」

「母は、なんで自分のお墓を?」


なんで?

沙世さんから聞いて、その理由がずっと気になってた。


「私のね叔父がね墓石を経営する仕事で。百合香ちゃん、それを知って私に頼んできたの」

「……」

「正直、私は賛成出来なかったんだけどね。…確かに自分のお墓を作って亡くなる人いるのよ。でも、そこまでしなくてもって、私は思ってて、」

「……」

「百合香ちゃん、自分の亡くなった後の事を物凄く心配してて、祖父母のお墓はもうお寺に任せてあるからお墓がないって、」

「……」


そう言って喜田さんは思い出す様に悲しそうに口を開いた。