Existence *

数日後、相変わらず美咲は気力が抜けた様にお母さんに寄り添っていた。

だけど、葬儀が行われる間、美咲は一滴も涙を流さなかった。

すすり泣く声が参列者から聞こえる中、美咲は何が起こっているかも分からないように呆然とし、その光景をただ眺める様に居た。

俺が話しかけても、ただ頷く美咲にこれ以上何も出来なくなっていた。


「…美咲ちゃん、大丈夫かよ」


今から出棺する時、蓮斗が俺に声を掛けてきた。


「お前にまで手伝わせて悪いな」

「別にいいよ。気にすんなよ」

「関係ねぇのに、もうほとんどの奴を借り出してしまったわ」

「お前ひとりじゃ無理っしょ。美咲ちゃんも大丈夫じゃなさそうだし」

「悪い。こんな形で美咲と会せてしまって。アイツほぼ喋んないしな」

「俺は会えてよかったけど。じゃなきゃお前、美咲ちゃんに会わせてくれねぇし」

「そんな事ねぇよ」

「そんな事、あるだろ。しっかし梨々花が言った通りマジで美人。お前には勿体ねぇ…」


そう言って蓮斗がクスリと笑った。


「どゆこと?…ってかもう、それは言わんくていい。その言葉は聞き飽きた」


顔を顰めた俺に蓮斗がフッと笑みを漏らした。


「…―――そろそろ出棺をしますのでお願いします」


受付の人の言葉で、棺桶を俺と蓮斗、諒也、流星で抱えようとした時、


「いや、無理だろ。奥の受付の所に彩斗が居るから――…」

「――…美恵っ、美恵っ、」


俺の声を遮って勢いよく走ってきて、棺桶を抱きかかえるようにして叫んだ女の人がお母さんの名前を叫んだ。

だからその所為で俺たちは一旦、その場を必然的に離れてしまった。


「美恵っ、ごめんね、ごめんね。こんな形で会いたくなかったよ!なかなか会えなくてごめんねっ、」


棺桶の蓋を開け、お母さんの顔を見つめ、そしてその人は泣き崩れる様に棺桶を抱きしめた。

友達だろうか。


その光景がまたフラッシュバックしたように、過去が蘇る。


お袋の棺桶を抱きかかえて泣きじゃくる沙世さんが頭を過った。