Existence *

慌ただしく時間が過ぎ、病院で手続きを済ませたころには既に24時を回っていた。

美咲の最後に言った言葉をどうしても叶えてやりたくて、お母さんが自宅に帰宅したのは夜中の2時を回っていた。


お母さんの隣で寄り添って泣いて寝ている美咲から視線を外し、俺はその部屋を離れる。

スマホを取り出し、諒也の番号を出しコールする――…


こんな時間だから出るだろうか。

なんて思いながらも俺は鳴り続ける音に耳を預けていると、


「…翔さん?」


諒也の声で閉じていた目が開く。


「こんな時間に悪い。寝てた?」

「あぁ」

「ごめん」

「何かあった?」

「美咲のお母さんが20時12分に亡くなった」

「…美咲は?どうしてる?」

「泣きじゃくって、会話すら出来ない状況だけど。さっきお母さんも家に帰宅して、隣で美咲が寄り添ってる」

「俺も行くわ」

「いや、今来ても何も出来る事ないし、こんな時間だしな」

「分かった。明日、葵と行くわ」


その日の明け方5時、美咲に一旦マンションに帰ると告げて、俺は一旦帰宅する。

正直、全く寝れなかった。

ほんとにうたた寝くらいで、頭が重い。


だけど寝てる暇もなく俺は眠気を吹き飛ばそうと、風呂に入り、その日は葬儀の手配に追われていた。

どうしたらいいのかとか、何からしたらいいのかとかなんて、さっぱり分からず、結局は沙世さんに聞くしかなかった。


「…翔さん今、係の人が喪主の人って言ってっけど」


葬儀屋でいろんな手配をしてると、諒也の言葉で視線を上げる。


「喪主?」

「そう、」

「そんなの美咲しかいねぇだろ」

「いや、無理っしょ。さっきアイツんち行ってきたけどアイツ死んだように何も話さないし動ける状態じゃねぇよ」

「俺がやる訳にもいかねぇだろ。そこは美咲がしねぇと。ここ終わったら一旦帰っから。アイツは寝たきり?」

「そう。今は葵がずっと付き添ってる。あとお母さんの職場の人も来てた」

「そっか」


正直、やることが多すぎた。

美咲はあんな状態だし、俺がやるしかなかった。

ただ俺も何をどうしたらいいのか分からず、結局沙世さんに聞いたことを全てやるしかなかった。

だからお袋が亡くなった時、こんなにも大変だったことを沙世さんがしてくれてたんだと思うと、本当に申し訳なくなってしまった。