Existence *

「あー…つか無理やりじゃねぇから」

「無理矢理じゃん」

「それに着いて来たのはお前だろ」


思い出す様にフッと笑みを漏らすと、


「そう、だけど…」


美咲が小さく呟いた。


「けどあれがあったから今があんだよ。分かるか?」

「なに、その上から目線」

「あー…でもあん時、お前ふりかけだけで飯食ってるって言ってたもんな」

「それ今、言う?」


クスクス笑う俺に美咲は眉を寄せ頬を膨らませた。


「その流れにしたのは美咲だろーが」

「そーだけど…」

「まぁ、とりあえず食えって」


お箸とスプーンを美咲に手渡し、美咲はコクリと頷く。

オムライスを手に取り、食べていく美咲に安堵のため息が漏れ、正直ホッとした。


食べ終わった後、そしてその後も美咲は至って普通だった。

あれほど泣いていたのが嘘のように美咲は至って普通だった。


無理して吹っ切ろうとしている姿が薄々感じられるが、時折笑みを見せる美咲が心配になってくる。


「…美咲?」


寝付く前に美咲に声を掛ける。


「うん?」

「無理してない?大丈夫?」

「大丈夫だよ」


言うと思った。

大丈夫って。

絶対、そう言ってくると思った。


それ以外の言葉なんて言うはずがないって、思ってた。

大丈夫じゃない時の大丈夫は、笑って言うから。

でも、そんな美咲に今日は何故か返す言葉が見つからなくて、ただ美咲を抱きしめたまま眠りにつく事しか出来なかった。