Existence *

1日、1日が刻々と過ぎていく。

美咲の不安な顔は俺にも伝わるくらいで、だけど美咲は俺に心配かけないようにと平然さを偽っていた。


だけど数日たった土曜日。

仕事が終わり帰宅すると、真っ暗闇のリビングに電気を点けるとソファーに置かれた美咲の鞄。

美咲は居なく、なぜか嫌な予感がし、俺は寝室へと足を運ばせる。


案の条、そこにはベッドで寝ている美咲の姿を捉えた。

シーツを被って寝ているとは違くて、帰ってきてそのまま倒れ込んで寝たって言った方が正しい。


「…美咲」

「……」


肩に手を添えて、美咲の身体を軽く揺する。

だけど美咲は起きることなく、俺の声にも反応がない。

今までと違った美咲の姿。

帰ってきてすぐベッドに倒れ込む美咲を今まで見た事がない。


なにがあった?


「…美咲」

「……」

「どした?…美咲?」

「……」


止めていた美咲の肩に置いていた手を再び揺らす。

顔を掛かった長い髪を指で払いのけると、美咲の閉じていた瞳がゆっくりと開いた。

少しだけ瞳が赤いのは気のせいだろうか。


「どした?体調悪い?」

「……」


俺の言葉に何も返すことなく、ただ美咲は俺をぼんやりと見つめている。

その視線と合わせる様にしゃがみ込んだ俺は美咲の頬にそっと触れた。


と、その瞬間。

美咲の瞳が次第に涙目になり、そこから溢れる様に涙が零れ落ちて来る。

我慢していたのが溢れだす様に涙が流れ落ち、美咲の呼吸が慌ただしくなる。

声を押し殺して泣いている美咲の目からは次々と涙が伝い――…


「何かあった?」


こんな美咲の姿は初めてだった。

お母さんとなんかあった?

学校でなんかあった?

ずっと、しんどかったのかよ…


ほんと無理すっから。

そう思いながら美咲の頭をゆっくりと撫ぜ、零れ落ちていく涙を親指で拭う。