Existence *

その視線が徐々に時計に向かう。


「こんな時間から食べたら確実に太るよね…」


まさか、そんな言葉が出て来るなんて思ってもなかったから思わず俺は笑ってしまった。

むしろそんな事、今まで気にしてたか?


「つか、そんくらいで太るわけねぇじゃん」

「太るよ!ダイエット中なんだし」

「え、マジで?」

「毎年ダイエッターなの」

「何だそれ。でも、ちゃんと食べねぇとな。もう一人いるから」

「うん」


小さく呟いた美咲は、そっとお腹に触れる。

まだ俺には全く実感がわかない。

そか。

本当に妊娠してんだ、美咲――…


「美味い?」

「うん」


食べる美咲は笑顔で頷く。

その笑みを見て、また買ってやろうかなんて思ったけど、さすがにあの行列は並べない。

ホスト時代、あの店の前をよく通る事があったけど、いつ見ても行列だった。


ルキアさん通して買いにいけっかなぁー…


「…美咲?」


風呂から上がってベッドに寝転ぶ美咲の隣で、俺は声を掛ける。


「うん?」

「仕事、どうすんの?」

「あー…うん、行くよ。一応さ、今のクラスって元々いなくなった人の代りだから3月までなんだ。だからそれまでは…」

「そっか。無理すんなよ」

「しないよ。大丈夫」

「もうその言葉、聞き飽きたわ」

「もー、どういうこと?」


顔を顰めて呟く美咲にクスクス笑い、


「ううん。なんでも…」


そう言ってそのまま美咲を抱きしめたまま目を閉じた。