Existence *

帰宅して速攻風呂に入る。

髪を乾かして、リビングに向かおうとした時、ガチャっと玄関が開く音で俺の視線がそっちに向く。


「おかえり」

「ただいま」


微笑んだ美咲に微笑み返し、一緒にリビングへと向かう。

ちょっとは落ち着いたんだろうか。

それがずっと心配だった。


「体調、大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」

「で、病院でなんて?」

「うん。まだ周期が早すぎて赤ちゃんの確認が分かんないみたい」


鞄を置いて冷蔵庫に向かう美咲に、「そう…」小さく声を返す。


「で、来週の時はわかるからまた来てくださいだって」


水を取り出した美咲は頬を緩ませ、もう一度鞄に向かう。

その中から何かを取り出して、俺に差し出す。


「何これ」


受け取って、そこでようやくわかる。

もちろん初めて見る俺でも分かった。


エコー写真。


「ここが袋だって」


そう言って美咲が小さな空間を指さす。


「…すげぇ。なんか小さすぎてまだよく分かんねぇけど、生きてんだな」

「…そうだね。凄いよね」


微笑んだ美咲の笑みを見て、ちょっと安心した。

ここ数日、ずっと悩んでいたから。

いや、俺が悩ませていたのか…


「あぁ、そだ。美咲のお母さんに言わねぇといけねぇな」

「いいよ、私が言うよ。明日、衣類持って行かなくちゃいけないし」

「いや、でも俺からの方がよくね?」

「つか、何でそんなに畏まってんの?」


クスクス笑う美咲に俺は顔を顰めた。

いや、普通畏まるだろうよ。


「だって普通そうじゃねぇの?」

「普通が分かんないからいい」

「なにそれ。そこはちゃんとしたいし」

「私からちゃんと言うからー」


ほんと、簡単に言うな、こいつは。

だから思わず苦笑いが漏れてしまう。

ま、どっちみち、最近行ってねぇから病院にいかねぇと行けないし。