Existence *

仕事終わり一旦、風呂に入ってからルキアさんとの待ち合わせ場所に向かう。

――…19時50分。

居酒屋の中に入ると、すでにルキアさんが来ていて、タバコを咥えたまま俺を見て頬を緩めた。


「おー、お疲れっす」

「お疲れ様です」

「お前、相変わらず男前やなぁ。全然変わってへんやん」

「そっちこそ」


笑いながらルキアさんの前に腰を下ろす。


「お前、かーちゃんに感謝しろよ。顔面偏差値高く産んでくれてありがとう。って、」

「なんすか、それ。別の意味で感謝してますよ」

「おぉ、それはええことやな。なんか飲む?」

「生で」


タバコを灰皿に押し潰しながらルキアさんは二つのビールを店員に頼み、あと適当に料理も頼んだ。


「お前、辞めたんだってな」

「そう辞めた。…え?また社長になんか吹き込まれたんすか?」

「いやいや、そう言うわけでもないねんけどな。昼間会って言うてたから」

「もうこの前すげぇ語られたからルキアさんまでやめて」


顔を顰めてため息を吐き出すと同時に目の前に置かれたビールを口に含んだ。

目の前のルキアさんも苦笑いになり、ビールを口に含む。


「俺は何も言わへんて。お前の人生やねんから好きにしたらええやん」

「……」

「まぁ、勿体ないとは、思うけどな」

「入った時から決めてたし」

「そうやな。言うてたもんな。生活費稼げたらいいねんって言うてたな。その生活費がいつの間にか何億って稼いで、それはそれで勿体ないやろ」

「そこまであんま考えた事ないっすけど」

「社長にな、女と住んでるから戻るつもりないって言われたわーって、ボヤいてたわ」


クスクス笑うルキアさんは唐揚げを頬ばり俺に視線を向けた。


「そうっすねー…」

「てか、なんなん?歴代のトップの男は女出来たら両立出来へんのか」

「ははっ、蒼真さんっすか?」

「そうや。アイツも桃華に夢中でバックレよったからなぁー…」

「すっげぇ怒られたって言うてましたわ」


思わず声に出して笑う俺に、フッとルキアさんは笑みを浮かべた。