Existence *

不意に鳴り出したスマホに手を伸ばす。

画面に映しだされる名前に一瞬、目を見開いてしまった。


…――ルキアさん。


ルキアさんと話すのは何年ぶりだろうか。

俺がホストに入った時のオーナー。

今は地元の関西に帰って、夜の店を何店舗も立ち上げている。

ルキアさんは俺の尊敬する人のひとり。

暫くなり続ける着信音を切り耳にあてた――…



「…はい」

「おー、翔。久しぶりやな、元気か?」

「元気っすよ。どーしたんすか?」

「いやな、何日か前にこっちに来てんねん。だから会えへんかなぁって思って。翔の話も色んなとこから聞くからお前と話したいと思って」

「もー、どっから情報?」


呟く俺にクスクス笑うルキアさんの声が耳を掠める。


「まぁ、色々や。今日アカンかったら別に違う日でもええよ。まだ数日はおるし」

「別にいいっすよ今日でも」

「繁華街でもええの?」

「繁華街っすか…」

「なんやねん、その嫌そうな返事」


声に出して笑うルキアさんは、

「まぁ、辞めたから来たくねぇよな。他の女と出会うかもやし」

続けてそう言って更に笑った。


「そうっすねぇ…。こっち来てくれると有難いんすけど」

「ええよ。ほな行くわ」

「20時頃でもいいっすか?」

「ええよ」


場所を指定し電話を切り、ルキアさんを思い出す。

初めの頃、ほんとよく怒られた。

指導力が半端なさ過ぎて、男の中の男って感じの人。


ほぼ、この人に育てられたようなもん。

そして、蒼真さんと。


この2人は本当に世話になった人達――…