Existence *

「正直、ずっと悩んでた。どうしようって…」

「なんで?」

「新しい環境に入ったばかりだし。翔だって、そうだし…」

「……」

「翔だって、本当はそう思ってるでしょ?今じゃないって――…」


頭まで被ってるシーツをゆっくりと下げ、美咲は見上げる。

そのかち合った瞳が、スッと逸らされる。


美咲が言ったことに否定は出来なかった。

確かに、今じゃないって、そう思ってた。

でも――…


「だから悩んでた?」

「……」


コクリと頷く美咲の頭を抱えて、そっと撫でる。


「ごめん、俺が結婚は今は無理だけどって言ったからだよな?子供が欲しくないからだとか、結婚がまだ早いとか、そう言う意味で言ったんじゃないから」

「……」

「俺がまだしっかり出来てなかったから。もっとちゃんとしてからって。でも――…」

「不安だったの。でも、でもね、嬉しかった。ホントに嬉しいと思った」


――…でも、嬉しかった。


俺の言葉を遮って、俺が思ってた同じ言葉を吐き出した美咲に頬を緩めた。

俯いていた顔を上げる美咲は頬を緩め、美咲の額に俺の額をくっつける。


「俺も嬉しいよ」

「うん」

「あ、まだ夜飯作って行かなくていいからな」

「でもっ、」

「大丈夫。仕事行くまでゆっくりしな」

「…うん。ありがと」


そのまま美咲を抱きしめたまま朝を迎える。

まだ眠ってる美咲を起さないようにと、起き上がり仕事へ向かう。


その仕事中、美咲からのLINE。

“妊娠してた。また帰って話す“


その言葉に“おめでとう“と返す。

きっと美咲は俺に言って少し安堵したのか、いつも朝、起きて来るのに今日は起きてこなかった。

この事と、学校の事。

両方の事で悩んでたって事、か。


そして昔の俺と、お母さんの事。

ほんと、抱えすぎ――…


それに気づかなかった俺も俺。