Existence *

「なぁ、なに?あのごった返してんの?」


見るからに店の中が上手く回ってない事が伝わる。

オーダー表を読み上げていく奴に慌てて走り回っていく他の男。


「オープンしてからバタバタしてる」

「バタバタってもんじゃねぇだろ。全然上手く回ってねぇの見え見えだろ」

「さっすが元NO1ホスト。空気読めるねぇ」


流星は笑いながら目の前に灰皿を置く。


「あぁ、ここ吸っていいん?」

「おぉ、ええよ。換気ついてるし、むしろここでしか吸わねぇようにしてる」

「マジで?フロアも?」

「紙タバコ禁止。アイコスならいいけど」

「マジか、」

「今の若い奴、アイコスばっかだし。むしろほぼ禁煙者しか居ねぇもん」

「なるほど」

「お前みたいに、そんな紙タバコをガバガバ吸ってる奴まずいねぇわ」


苦笑いしながら俺はタバコを咥え火を点けた。


「お前も吸ってんだろうが」

「最近、アイコスと半々」

「まじで?アイコスに切り替え中かよ」

「いや、そうじゃねぇけど。フロア、アイコスしか吸えんから」

「あー…なるほど」

「で、なんか酒でも飲む?」

「車で来てる」

「おー、そか。水持ってくるわ」


出て行った流星の後に視線を送る。

開かれている扉から見えるのは、慌ただしく聞こえて来る声。

この狭い空間を慌ただしく走ってる奴ら。


なんだ、これ。


「はいよ」

「サンキュ。つか、なんで荒れてんの?」


目の前にペットボトルの水が置かれ、それを掴んで蓋を開け喉に流し込む。


「ほぼ新人だから」

「オープン時に誰か連れて来なかったのかよ」

「あー、彩斗とか来たよ。一通り教え込んであっちに戻った。多分この光景が社長には分かってたんだと思う」

「…で、あの人いつ来んの?」

「さぁ、もうすぐ来ると思うけど」


腕時計に視線を落とした流星は同じ様にタバコに火を点けた。