Existence *

次の日の朝、流星に連絡をして、その日の20時を回った頃。

車を停め、俺は気だるいまま新しい店舗の店に向かう。


前の店とはそこまで凄く離れていなく、多分15分くらいの場所。

前の店ほどの様に物凄い人が溢れてるって訳でもないが、それなりに人通りはある。


初めて来る新店舗。

地下に続く階段を降り、店に足を運ばせると、懐かしい雰囲気の光景が目に飛び込んでくる。

音楽に交じって弾ける声があらゆるところから飛んでくる。


「…あ、流星いる?」


通りすがりの男に声を掛けると、俺の顔を見た途端、ハッとした。


「あ、楓さん」


そう言ってきた男の顔はもちろん知らない。

むしろ、ほとんどの奴が知らない奴ばかりだった。


「いや、もう違うけど」


苦笑いで呟く俺に、「ちょっと呼んできます」そう言ってその男は奥へと進んで行く。


「あーっ、楓さんっ、」


不意に聞こえた声に視線を向けると、愁が俺に近づいて来る。


「おぉ、お前元気?」

「元気っすよ。楓さんに言われた通りこっちに来ました」

「そう」

「ここ来たら戻ってきたいって思うっしょ?」

「いや、それはねぇなぁ…」


首を傾げて呟く俺に愁はクスクス笑みを漏らせた。


「あー…っと、翔。こっち」


通路の奥から声を張り上げた流星に視線を向けると、流星は手招きしながら俺を呼ぶ。


「じゃあな」


愁に軽く手を上げ、俺は流星の傍まで足を進めた。

奥に入ると、ごった返す様にむさ苦しい男達で溢れる空間。

そのバックヤードの後ろにある部屋。


ソファーが置かれていて、6人くらい座れる空間。

そこに俺は腰を下ろした。