さて、そんな現状把握をしている私はあと三日で18歳になり成人になる。
 結婚すれば女伯爵としてフランゼ家を継ぐというこの時に父と継母とアレクシアに話があると呼ばれて、我が家のサロンに行けばそこには父と継母、アレクシアと私の婚約者のはずのレイゼロードが仲睦まじく話している光景が入って来るがもはや今更である。
「それで、話とはなんです?そこのふしだらな婚約者とそこの妹もどきが関係をもって子を成したことですか?」
 私はサクッと先手必勝で切り込むと父も継母も婚約者であるレイゼロードもアレクシアも驚いている。
「なにを驚いているのです?私が仕事をして家のことを回しているのを良いことに、うちのお金だけで散財したつもりになっている皆さんの行動は家を回しているのですから把握済みですよ?侍女もメイドもなにかあれば報告する先は私なのですから。正当な次期女伯爵である私が実質この家の主人ですよ?」
 私ははっきりと教えてあげる。
「嘘よ。旦那様がフランゼ家の伯爵であり、今後も主人だと私は聞いているわ!」
 継母はその隣でこの場で一番現状を把握し顔色を悪くしている父を見ないままに発言する。
「頭の悪い人だとは思っていましたが、ここまでですか。フランゼ家は代々女性が引き継ぐ女伯爵家なのです。つまり先代は私の母で女性が引き継ぐのですから先代母の血を引き継ぐ私が正当な女伯爵。まだ未成年のために父が中継ぎの伯爵なだけで、それも名ばかり。家のことはすべて私が取り仕切っており、フランゼ家のお金は父には一切動かす権利すらありません」
 私が切り盛りするまでの間に、だいぶ使い込まれたフランゼ家の資金は私が仕事をし始めて回復した。
 その間の使い込みに関しては父の生家であるビーレゼルン侯爵家に負担させて、祖父からは平謝りの謝罪と共に返金された。
 そしてその際にビーレゼルン侯爵家は父を侯爵家とは無関係として縁を切った。
 つまり伯爵位を失えばただの平民になるし、その妻たる継母も娘のアレクシアも平民だ。
「え?私たちの生活費はどうなっていたの?」
「そんなもの、父が婿入りの際に持たされた父の私財から払っていましたよ?湯水のように使うので、もう残りは平民でも一か月生活できるか分からない額しか残っていませんがね。まぁ、父とあなたたちの自業自得でしょう?そしてあと三日で成人する今日であればすでに申請済みの私は女伯爵を名乗れるのです。未婚であっても先代が亡くなり、次期伯爵が成人するときのみ未婚での爵位継承が認められ、成人一週間前には女伯爵を名乗ることが可能になるのです。つまり、もうすでに私はフランゼ女伯爵なのです」
 子が出来たから、フランゼ家を父からアレクシアにという目論見は既に把握していた。 
 そしてそのことを成人前に話して私を家から追い出そうとしていたことも。
 しかし、過去にも中継ぎ伯爵が問題を起こした事例がありフランゼ家のみ特例で成人前の次期伯爵が先代を亡くしていた場合のみ一週間前の爵位継承を認められているのだ。
 これを一か月半前には法律書を皿のように見まわして確認した私は、しっかりと王国法務部に爵位継承の申請書を提出。