ハイヒールの魔法

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 結婚式も披露宴も、とても素晴らしいものだった。

 新郎新婦からは、互いを想い合う深い愛情が伝わってきたし、二人のことをこれからも応援したいという気持ちになった。

 ただそれとともに、今までずっと隠し続けていた感情が顔を覗かせ始めだのだ。

 あんなふうに愛したいし、愛されてみたい。ウエディングドレスを着て、お姫様みたいな気分を味わってみたい──はっきり言えば、恋愛をして結婚をしたいという気持ちが芽生えた。

 でもそこで心にブレーキがかかる。自分みたいな人間を好きになってくれる人なんているはずがない。夢を見るだけ無駄だと、すぐに憧れを否定した。

 今は結婚式に参列して舞い上がっているだけ。すぐに消えて無くなるはず──そして瀬名は悲しげに微笑んだ。