離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


未依が驚いていると、彼女はすぐさま頭を下げた。

「失礼いたしました。とても仲がよく見えましたので、てっきり恋人同士でいらっしゃるのかと」

スタッフが謝罪するのを、未依は慌てて止めた。

「ごめんなさい、違うんです。いつも兄妹に見られていたので、恋人同士なんて言われたのが初めてで驚いてしまって……」

驚いたけれど、嬉しい。そう口にする前に、律が笑いを堪えながら割り込んでくる。

「そこは『恋人じゃなくて夫婦です』ってちゃんと言ってくれると嬉しいんだが」
「律くんっ……!」
「まぁ、ご夫婦でしたか。失礼いたしました」
「いえ。彼女が可愛くて仕方ないというのは正解ですので、お気になさらず」

スタッフをフォローしているようで、単なる惚気にしか聞こえない。

未依は恥ずかしさでいたたまれず、そそくさと店をあとにする。ふたりの背中を、スタッフの女性は微笑ましそうに見送っていた。