そんなこんなで放課後なわけだけど……。


マジでなんなの、コイツ。


呼び出しといていないとか!


六限もサボってたし!


「…へぇ?来たんだ?」


後ろからご登場ですか。


「……呼び出しといてなんなの?」


扉に気だるげによりかかるその姿さえ様になるのは仕方なく認めてあげる。


「生意気」


そういうとずんずんと私に近づいてくる。


生意気?よく言うよ、自分だって常日頃から生意気を通り越してるよ?


「……何?」


追い詰められて逃げ場がない。


するとお腹のなかに柔らかい感触……。


「…なにすんの?気持ち悪い」


するりと忍び込んできたその手は容赦なく触れてくる。


んっ……。


急いで口元に手を当てて声を抑える。


「……やめて、よ…」


あ……言えない…。


もう、傷つきたくない。


何も求めないから……何も、いらないから。


捨てたはずの想い。もう押し込んだはずの気持ち。


好きにならない。こんなヤツ嫌い。


「…どうしたの、いつもに増して弱弱しいじゃん」


そういって不敵にほほ笑む荘。


慣れてる。


こんなの、…


好きでもないのに、しないでよ。


すると手は引っ込んで代わりに背中に回された手。


思い出しちゃうじゃん。


静かに頬を伝った涙。


あの頃の荘に戻ってくれるんじゃないか、とか。


「……変わったな」


ぼそりと呟かれた言葉。


誰のせいだと思ってんの。


ほんとはこんな風になりたかったわけじゃない。


「わざわざ、こんな高校来て?遊びまくって?」


全部、あんたのせいでしょ…。


だって……


荘が好きだから。


決まってんじゃん、消えてくれないんだ、荘は―――。