「あ、あのすみません…帰るんで…」


「え~なんで?せっかくだし、ね?あなたメイクしたら化けるわよ?」


化ける、……!?


「ね?いいでしょ?やりましょうよ!」


その押しに負けて私はされるがままに変身していった。


およそ二十分後の私はもう別人だった。


「まぁ!可愛い~!早く水月さんにも見てもらいたいわ~!」


――コンコンコン。


ドアをノックする音が聞こえてメイクさんがはぁ~い、と走っていった。


「まぁ!荘くん!」


ドアの外からそんな声……。


って、無理、無理無理無理。こんなメイクで確かに化けたけど…普段の自分との差!


見せられない、一択…!!


思わずクローゼットの中に隠れてしまった。


「どうぞどうぞ入って~!じゃあ、お邪魔虫は退散するから~!」


今なんて言った!?


お邪魔虫なんかじゃないから…!!全然お邪魔じゃないから行かないで!!


――ガチャ。


ムリ……。