「…ね?だから今日、荘くんとの撮影、じっくり見ていってね?」


可愛らしい見た目して腹黒な……。


「………」


それだけ言うとほかのメンバーもかすかに口角をあげた。


静かだった黒髪の二人も意味深な笑みを浮かべながら去っていった。


なんなの、この事務所は性格で人を判断できないの!?


私が見た限り顔だけだったんですけど!?


分からない。芸能界の今時高校生は理解できない…。


「あれ~?梨華ちゃん?」


懐かしい声がして振り返るとにこりと満面の笑みを浮かべて飛びついてきた。


「久しぶり!!あぁ、可愛い可愛いかわいいわぁ~!!なんなの、この可愛さ!もう、これから即撮影始めましょ!いっそのこともう芸能界入り決定よぉおおお!!ああー!メイクもしてもっと大人っぽくもしたいわ!あ、でもそしたらいろいろと大変なことになるわね!ダメよ、じゃあ、もうとりあえずメイクしましょ!この顔にメイクできるとかさいっこうじゃなーい!!さすがの荘もこれでイチコロよ!!」


……情報量多くてすんません…。


荘のママ……。


美人の破壊力すさまじい……。無理、美の暴力…。


「あ、あのちょっと落ち着いて…」


「なーに言ってるの!さ、メイクしてもらいましょ!!ね?みてこの子。私の将来の娘なのよ~可愛いでしょう!?」


「…?将来の…娘?よくわかりませんけど可愛いですね!!誰ですか!?水月さんの知り合いですか?」


ほら、メイクさんわけわからん顔してる…!!


「そうなのよ~だから、ね?ちょーぜつ大人っぽくしてあげてちょーだい!」


(ぐったり……。)


テンション高すぎ……。荘のママはもちろん女優、なんだけど……


それ以上に異次元のテンションの高さ…!


演技の時とのギャップがすごすぎてもう誰だか……、


「…?よくわかりませんけど分かりました!可愛くしちゃいますね!!」


可愛くしちゃわないでよ……。


「じゃあよろしく~!」


それだけ言うと嵐のように去っていった荘ママ。