そこに立っていたのは紛れもなく龍我。


「俺の女に手ぇ出したバツわかるよな?」


急にドス黒い声でそう言い捨てるからビクッとしてしまった。


――キリリリッ


そんな音がした龍我の手に握られているものはカッター。


ちょ……ちょっとまって……


「…ま、まって…龍我」


「待たない」


「まって…私、ほんとになにもしてない……!だから、帰ろう……?」


「そんなわけない。こんな状況で手出さない男がいるわけない」


いや…ちょっとまって……!?


確かにちょっとされたけど……


「待って…お願い……!私からのお願いだから……!」


そう言って上目遣いで龍我を見る。


私は知っている。私の上目遣いに龍我は弱い……!


ちょっと卑怯で申し訳ないけど……。


私を見た龍我は黙って私の手首を掴んだ。


その手は離されることなく私を引っ張っていく。


「ちょ、ちょっと……どこ行くの?」


「家」


というかさっきのカッター……どこから出てきてたのーー!?


さすがに怖いよぉ……~。


家って……。


ああ、もう今日で少し寿命縮まったような……。