「香純」
大好きな人の声が聞こえて目を覚ます。
「涼くん?」
朝から涼くんに会えるのは幸せだけど、私にはひとつ悩み事があります!
「入っていい?」
「う、うん」
ドアが開けられて入ってきたのは幼馴染兼恋人の涼くん、なんだけど……。
「ん、今日も可愛い」
か、可愛いって……。
朝から心臓に悪い……。
そう、私の悩み事はこれです……。涼くんの不意打ちにいつも反応しちゃうこと……。
しかも涼くんは涼くんで楽しんでそうな笑顔を浮かべている。
く、悔しい……っ…。
「なに。ドキってしたの?」
「し、してないもん……っ!」
「へぇ?そーなんだ?」
涼くんは余裕なのに、私はずっとドキドキしっぱなし。
私だって涼くんをドキドキさせるもんね……!
と、いうわけで……。
「はーん、それで橘をときめかせたいって訳ね」
「そう!そうなのっ……!だって私ばっかりだもん……」
「その顔だけでときめいてると思いますけどねー」
リリちゃんがなにやらぼそっと呟いた。
「え?」
「ううん。なんでも。面白そうじゃない。ノッてあげるわ。その代わり、小説の題材にさせてよね」
しょ、小説の題材……!?
いや…別にいいけど……そう、いいんだけど…恥ずかしい…。
リリちゃんはメモちょらしきものを取り出してメモしている。
「う……まあいいけど……」
「よし!そうとなれば作戦会議よ!」
でもリリちゃんは頼りになるし……
私だって涼くんをドキドキさせたい……!
これは私の涼くんドキドキ作戦の始まりです!