リリィと出会ってから、約2時間後のことでした。母が父に、「あいしているわ」と呟きました。

わたしは、「あいしているわ」という言葉が良いものだと感じ取りました。なぜなら、母の声のトーンがいつもより優しく、穏やかだったからです。

というより、父と話す時はいつも穏やかなのですが、もっともっと、明るく、リリィのような感じがしました。

わたしにとって、リリィは神でした。リリィ以上なんかありません。だから「あいしているわ」を、リリィのような神の言葉と捉えました。


「ねえリリィ、あいしているわ」

小さくリリィに向かって口に出すと、なんとも言えない高揚感に包まれました。リリィも応えてくれました。「あいしているわ」と。