……何故。

今日出会ったばかりだし、何よりこれで関係は途切れるはずなのに。

その場限りの関係、というのを知らないのだろうか?

「……いや、残念ですけど、お断りさせていただきます」

「そう?お水も入れるわよ?……あ、パンはきっと苦手よね。大丈夫よ、用意しないから」

「あの……あたし、家に帰っても業務があるので」

「まあ、大変ね。疲れてしまうじゃない。美しいあなたが、損をする世界なんて考えられないわ。ねえ、わたしの家で休んで行かない?」

「ほんとに、大丈夫なんで」

「あなたの大好きな、水もあるのよ?ほら、あの時一瞬でおいしそうに飲んでいたじゃない」


何の話?

そんな話、知らない。きっと別人の話だ。何を言っているのだろう、この人は。

「あの、あたしたち……どこかであった事あるとか、ですか?それだったらすみません、あたしきっと忘れてて……ほんとにごめんなさい」

こんなにも美しい人とは、出会ったことがないのに。