「今日は本当にありがとうございました!リリィについて取り上げてくれるなんて、思ってもいなかったです……」

「いえいえ、こちらこそ。本当にいい企画になりました。リリィさんのこと大切に思ってる気持ち、よく分かりましたよ」

番組Dと彼女が話をしている。彼女の美しさにやられたのだろうか、ディレクターは顔を輝かせながらニコニコと話をしている。

きっと気に入ったんだろうな、これからも彼女は呼ばれるのだろう。そう思いながら、後片付けを進める。


「……ねえ、手伝ってもいいかしら」

「……え、……いえ、大丈夫です」

彼女に声をかけられ、あたしの心臓はドクドクと大きく脈打っている。緊張しているのが自分でもわかった。

「そんなこと言ったって、あなた、大変そうよ。わたし、手伝うわ。何をすればいい?」

半ば強引とも言えるが、あたしは彼女の優しさに甘えて手伝ってもらうことにした。あたしの目線を覆い尽くす段ボールを半分ほど持ってくれて、親切なんだなあ、と思った。


「ねえ、テレビの人ってこんな雑用が多いの?」

「はい、まあ。スタッフの種類によって違いますが。あたしは下っ端みたいなもんなので、雑用が殆どですよ。ADって、そんなもんです」

「へえ、大変ね。……ねえ、ちゃんと寝れてる?酷いクマよ」

「ああ、まあ……。大丈夫ですよ」

「そう?とても良くは見えないけれど……。あ、ねえ、そうだ。わたしの家に泊まっていかない?」