影が寝てしまっていたので、僕が風呂敷越しに生首を掴んで棚に戻す。
「やや、申し訳ない」
「地図帳が気になるの?」
「うむ。今居る場所を教えていただきたく」
僕は地図帳を開いて生首の前に置いた。
「今はここ。生首の出身地の下総はこの辺り。えっと匝瑳市はここだね」
関東のページを開いた。
菜花が書いてあるあたりを指で差すと生首は「なるほど」と頷いた。
「一日歩けばつくだろうか」
「どうだろう」
タブレットを出してきて、地図アプリでルート検索をする。
「大人の足で十五時間歩けば行けるらしいよ。でも僕の足だともっとかかるし、あなたを抱えていたら十五時間ぶっ通しでは歩けないよ」
「そうさなあ……それがしの足がないばかりに」
ないのは足だけじゃないけど、そこは黙っておく。
「電車も……僕だけだとなあ。それに生首を電車に持ち込んでいいか、わからないし」
犬猫とか自転車は別料金がかかったと思うけど、生首料金についてはわからない。
生首はじっと地図の菜の花の絵を見つめていた。
「やや、申し訳ない」
「地図帳が気になるの?」
「うむ。今居る場所を教えていただきたく」
僕は地図帳を開いて生首の前に置いた。
「今はここ。生首の出身地の下総はこの辺り。えっと匝瑳市はここだね」
関東のページを開いた。
菜花が書いてあるあたりを指で差すと生首は「なるほど」と頷いた。
「一日歩けばつくだろうか」
「どうだろう」
タブレットを出してきて、地図アプリでルート検索をする。
「大人の足で十五時間歩けば行けるらしいよ。でも僕の足だともっとかかるし、あなたを抱えていたら十五時間ぶっ通しでは歩けないよ」
「そうさなあ……それがしの足がないばかりに」
ないのは足だけじゃないけど、そこは黙っておく。
「電車も……僕だけだとなあ。それに生首を電車に持ち込んでいいか、わからないし」
犬猫とか自転車は別料金がかかったと思うけど、生首料金についてはわからない。
生首はじっと地図の菜の花の絵を見つめていた。



