「猫娘の鼻を明かしてやるといい」
「うん。ありがとう」
その人は生首だけだったときと同じようにニヤッと笑って、より一層薄くなった。
「では、それがしはこれにて失礼いたす。貴殿も、影殿も、大変世話になった」
「さっさと行っちまえ。二度と姿を見せるなよ」
「影殿は過保護な兄でござるなあ」
「こんな危なっかしい弟いらねえや」
その人は悪態をつく影を無視して僕に手を差し出した。
「別れ際には握手をするものらしいな。南蛮由来ゆえ、それがしにはなじみがないが。しかし、貴殿とは最後にしておきたいが、よろしいだろうか」
「いいよ」
「やめとけよ、呪われるぞ」
「大丈夫だよ」
僕は笑った。
父さんにさっきもらった土鈴と、猫娘が寄越した扇がある。
ちょっとやそっとの呪いなら、どうにかしてくれるだろう。
それに、過保護な兄もいるわけだし。
「さようなら」
「ああ、さようなら」
握った手は硬くて、ぼろぼろで、力強くて、透けていた。
「うん。ありがとう」
その人は生首だけだったときと同じようにニヤッと笑って、より一層薄くなった。
「では、それがしはこれにて失礼いたす。貴殿も、影殿も、大変世話になった」
「さっさと行っちまえ。二度と姿を見せるなよ」
「影殿は過保護な兄でござるなあ」
「こんな危なっかしい弟いらねえや」
その人は悪態をつく影を無視して僕に手を差し出した。
「別れ際には握手をするものらしいな。南蛮由来ゆえ、それがしにはなじみがないが。しかし、貴殿とは最後にしておきたいが、よろしいだろうか」
「いいよ」
「やめとけよ、呪われるぞ」
「大丈夫だよ」
僕は笑った。
父さんにさっきもらった土鈴と、猫娘が寄越した扇がある。
ちょっとやそっとの呪いなら、どうにかしてくれるだろう。
それに、過保護な兄もいるわけだし。
「さようなら」
「ああ、さようなら」
握った手は硬くて、ぼろぼろで、力強くて、透けていた。



